木造天守へいざ寄付集め 名古屋市長、100億円計画

名古屋市が名古屋城天守閣を木造で復元する事業で、寄付金集めの動きが広がり始めた。旗振り役の河村たかし市長は、最大505億円の事業費のうち100億円程度を寄付で集めると明言。市は「多くの人に関心を持ってほしい」と、夏をめどに一口1000円程度からの受け付けを始める計画だ。ふるさと納税を活用し、返礼として記念の「城主証」の交付や、名前が後世まで残るような特典などを検討していく。

「可決と聞いて、うれしくて飛んできました」

市議会で基本設計費などの予算案が認められた3月下旬。市民団体「名古屋城天守閣を木造で復元し、旧町名の復活を目指す会」代表の北見昌朗(まさお)さん(58)が市長室に駆けつけ、個人の寄付として現金100万円を河村市長に手渡した。今月14日には名古屋市内で「さあ寄付金集めだ!決起集会」を開く。

事業費505億円は市債発行で賄い、入場料収入などで償還する計画。4月の市長選で河村市長が寄付を呼び掛け、100億円程度の目標を掲げた。市によると、予算案の可決以降、「どうやって寄付すれば」といった市民の問い合わせが十数件あった。市は市議会六月定例会に、寄付金の受け皿となる基金設立の条例案を提出し、7月から本格的に呼び掛けていく予定だ。

1959年に鉄筋鉄骨コンクリート造で現天守閣を再建した「昭和の築城」では、事業費約6億円のうち約2億円が市民約4万人から集まった。現在復元中の名古屋城本丸御殿も、総工費約150億円のうち、目標の50億円を上回る約52億5000万円が浄財だ。

名古屋城の担当者は「行政だけが主導するのではなく、皆さんが大切にしようと思える『市民の宝』を造れるかが鍵」と話し、機運の盛り上げが事業の成否を握っているとみる。

(蜘手美鶴)

2017年5月5日 中日新聞より